「分限処分」ってなんですか?
- 編集部 KOKKO
- 3月21日
- 読了時間: 2分
(2016年12月『KOKKO』16号掲載)
Q
「分限処分」ってなんですか? 旧社会保険庁の職員が「分限免職」されたあと、一部の方の処分が取り消されて職場復帰されたそうですが、そうした不本意な処分がされた場合の争い方も教えてほしいです。
A
国家公務員法(以下、国公法という)上、「分限 ※1」の表現は出てくるものの特に明文の定義は設けられてはいませんが、国公法のコンメンタール(逐条解説)では、「分限とは、身分保障を前提とした上で、公務能率を維持するために官職との関係において生ずる公務員の身分上の変動で、職員に不利益を及ぼすものをいう。具体的には、職員の意に反する降任、休職、免職等の総称」であると解説されています。
そして、「分限処分」に関しては、「職員は、法律又は人事院規則に定める場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない」(国公法75条)と規定するとともに、法律に定める場合として、①人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合、②心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合、③その他その官職に必要な適格性を欠く場合、④官制(行政組織)若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合の4つを規定(国公法78条)し、これらに該当した場合には、降任や免職ができるとしています。
旧社会保険庁職員の分限免職処分は、「消えた年金」問題等が発端となり、年金業務に対する信頼回復を図るためとして社会保険庁を廃止して非公務員型の公法人である日本年金機構に業務が引き継がれることになった際、78条4号に該当するとして525人もの職員が分限免職されたものです。このことに対して71人の職員が処分は不当だとして人事院に不利益処分審査請求を行い、人事院は、厚生労働大臣の分限免職回避努力が十分ではなかったとして25人の職員の分限免職を取り消しました。
このように、不利益な処分が行われた場合には、人事院による「不利益処分審査請求制度 ※2」を活用することができ、救済の道も開かれています。なお、人事院の審査請求で棄却判定がでた場合で、なお納得がいかない場合には裁判所に提訴する手段もあります。
※1 国家公務員法74条(分限、懲戒及び保障の根本基準)「すべて職員の分限、懲戒及び保障については、公正でなければならない。」
※2 一般職国家公務員が、懲戒処分や分限処分等された場合に審査請求することができる制度。人事院ホームページ参照。
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